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PTSD症状を示す難しいケースを進めるにあたって(II)~檜原先生のスーパービジョンを受けて~

 現在担当しているカウンセリングケースの中で、職場で体験した上司からの厳しい指導がトラウマとなって、現在でも頻繁にパニック症状を起こすPTSD症状を有する患者様のケースは、20回近くの面接を通してもなかなか症状の改善が見られていません。

 認知処理療法を試みても、活き活きとした情緒を伴う洞察体験をしていただくことが重要にも拘らず、その体験が得られません。セッションが進むにしたがって身体化が進み、不眠や体の痛みに苦しまれるようになりました。

 セラピストとしては、大きな責任を感じながらカウンセリングを進めています。「男は強くなければならない。いい加減な人間は許せない。」という固い信念のために、「自由気ままに生きる。感じるままを表現する」ことが困難となっている患者様にその信念を見直していただくことはなかなか難しいと感じています。

 その過程で、檜原先生のSVでのお勧めに従って、『夢』という退行が進んだ環境の中で、活き活きとした情緒体験をしていただくことができるかも知れないと言う仮説を立て、『夢』の記録をつけていただき、それも材料に利用しながらセッションを進めることにしました。

 『夢』の中では、患者様が普段抑圧していることから少し解放され、先日は『怒り』を爆発させて、無理難題を言ってくる派遣先社員を殴る場面が出てきました。このような表現は現実にはあり得ないことであり、患者様がようやく『夢』という安全な場で自分の感情を表現することができ始めたと思われました。

 このようにPTSDの症状を『悪夢』とだけ捉えるにとどまらず『抑圧された感情の曝露』と捉えることで、カウンセリングの中で追体験が可能となり、私自身の共感性も高まりました。また、日常、ふとしたきっかけで生じてくるパニック症状への対応もご指導いただき、クライエントの自己効力感が上がることを期待しております。

 以上のように、檜原先生のスーパービジョンでは、初心者である私が、実践の場でどう進めて行って良いか迷った際、自分でも気づいていない患者様の兆候や自分自身の強みをご指摘戴いて、私の背中を押して戴くことがしばしばあります。今後も、多彩な症状を訴えるクライエントの方々への介入にあたり、迷いがちな私にお力を借していただけるものと確信しています。

2020年8月20日 A.Kさんより