よくある質問

Q.買い物依存症は、病院に行った方がいいのでしょうか?
A.日々の満たされない部分を買い物で満たしているのであり、これが続けば、いろいろなトラブルに発展するでしょう。買い物をすると気分が晴れますし、お金を使うことが気持ちいいと感じるのです。自分でやめようと思っても、やめられないのであれば、カウンセリングなどを受けるべきです。
Q.どうしたらアルコール依存症とわかるのでしょうか?
A.1)飲酒量を減らさなければならないと感じたことはありますか?
2)他人から飲酒を非難され気にさわったことがありますか?
3)自分の飲酒について悪いとか申し訳ないと感じたことがありますか?
4)神経を落ち着かせたり、二日酔いを治す為に「迎え酒」をしたことがありますか?

二つ以上当てはまったら依存症の可能性があります。(CAGE質問紙より)
Q.飲酒を自分の意志で抑えられない人はアルコール依存症なのでしょうか。
A.それは、アルコール依存症という病気の症状であり、意志が弱いからではありません。飲酒のコントロールが出来ないのは、通常「飲みたい」と思う欲求をはるかに超えた飲酒欲求と、苦しい離脱症状によって飲酒してしまうものです。それを意志の力だけで抑えることは難かしく、対策が必要であると考えられます。
Q.これまでの人生で否定的な記憶が多く、親とも愛着関係が築けなかった場合のEMDRはどうなるのでしょうか
A.EMDRは、苦痛なトラウマ記憶をターゲットとして接近していきますので一時的に不安定になることもあります。安定化のためのセルフコントロールが日常生活の中で用いられるようにします。また、そういう場合は、ひとまず否定的な記憶に焦点を当てることを先に延ばして、『RDI』という役に立つ資源の開発と植え付けを行うこともできます。これは、肯定的な記憶やお手本となるモデル、象徴的な資源などに焦点を当ててプラスのネットワークを作り、安定化や自尊心の向上を図る技法です。これまでに自分が何かを達成した記憶、認められた記憶、愛された記憶、楽しかった記憶等があればそれに焦点を当てて五感と共に眼球運動を加えることで定着していきます。
Q.マインドフルネスは、どうしたら良いのですか?
A.マインドフルの状態とは、「自分が今、何を考え、感じ、どんな行動をしているのか、周囲で何が起こっているのかに意識を働かせている状態」です。そのために3つの【すること】【気をつけること】を実践して下さい。【すること】は、『観察する』『言葉にする』『体験する』 【気をつけること】は、『価値判断せずに』『一度に一つずつ』『効果的に』です。マインドフルのスキルが自分のものになるまで練習してみましょう!
Q.脱法ハーブは、大麻と同じ成分ですか?
A.脱法ハーブは、2009年頃から「合法大麻」と称して流行してきましたが、現在は、幻覚成分である「合成カンナビノイド」という化学物質を植物片に混ぜたものと覚せい剤に似た「合成カチノン」という別の化学物質が配合されているものが市場に出回っています。脱法ハーブに詳しい医師の話では、配合の具合で脳の中枢神経に興奮や抑制作用を起こし、精神毒性や依存性の高い商品も多く、精神依存性は強度にあるが、身体依存性や耐性形成などまだ解明されていないとのことです。つまり、吸引者は、これまでのカンナビロイド系と思って人体実験をしているようなものだと言えます。
Q.どこからがアルコール依存症なのでしょうか? 私はお酒が好きで、よく飲み会や合コンに参加し飲んだり、一人で晩酌をしたりするのですが、家族や友達から「アルコール依存症では?」「飲み過ぎなんじゃない?」と言われ心配されています。 確かに飲む量は多い方だと思いますが、別にアルコールの問題があると思っていません。どこからがアルコール依存症なのでしょうか?
A.アルコール依存症とは突然なるものではないので、はっきりここからがアルコール依存症というのはとても難しいです。飲む量が多ければ依存症になる確率も上がりますし、飲み始めた年齢が早ければ早いほど依存症になりやすく依存症の治療も長くかかります。さらに厄介な問題は依存症の問題があっても気付かないことが多いということです。 少しアルコール依存症に関するお話をしたいと思います。

日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、アメリカではBinge drinking (ビンジ ドリンキング)、Heavy drinking (ヘビー ドリンキング)という言葉を使った記事をよく目にします。
Binge drinkingとは女性では4杯以上、男性では5杯以上のお酒を1回の機会に飲み、その機会が少なくとも1ヶ月に1度はある飲み方です。
Heavy drinkingは幾つかの言われ方があるようですが、(1)5杯以上のお酒を1回の機会に飲み、その機会が1ヶ月に5日以上ある、もしくは (2) 1週間に女性では8杯以上、男性では15杯以上のお酒を飲む飲み方です。
Binge drinkingをする人の90%はアルコール依存症ではないとされていますが、紹介した二つの飲み方は飲み過ぎ(Excssive drinking;エクセッシブ ドリンキング)と言われ、アメリカの労働者の10人中1人の死亡原因となっています。また、アルコール依存症の予備軍とも言われています。身体的な影響(高血圧、ガン、心臓病、心臓発作、肝臓病)、危険な性行為(妊娠、HIV感染、性病感染)、自動車事故、暴力や怪我などの深刻な問題も懸念されています。

あなたは問題がないと感じていても家族や友達といった身近な人達が心配しているのであれば、一度専門家に相談してみることをお勧め致します。    (高橋 美紀)

参考文献:
Centers for Disease Control and Prevention. (n.d.). At A Glance 2016 Excessive AlcoholUse.
https://www.cdc.gov/chronicdisease/resources/publications/aag/pdf/2015/alcohol-aag.pdf
Buddy, T. Prevalence of Alcoholism in the United States. VeryWell.
https://www.verywell.com/survey-finds-that-many-recover-from-alcoholism-67446
Q.共依存(Codependent/Codependency)とはどういうことをいうのでしょうか?
A.Codependent/Codependencyという言葉は、誰が作ったかは知られていませんが、言葉自体はミネソタ州にある、複数の治療施設でほぼ同時期の70年代後半から専門家の間でよく使われるようになりました。近年、日本でも一般的にも知られるようになりました。しかし、その定義はまだ曖昧なものでしかありません。それはCodependentの在り方や特徴が影響していると言われています。


■ Codependentの専門家で先駆者の方々の定義をいくつか紹介しましょう。

Robert Subby(著書「Co-Dependency, An Emerging Issue」)によると、
個人が長期にわたって、個人的な問題や対人関係の問題を話し合うこと、自由に素直な感情を表すことを妨げられるなど、抑圧的なルールにさらされながら、それに従ってきたことによって起こる感情的、心理的、行動的状態を示す。
Earnie Larsenによると、愛情あふれる関係を積極的に築き続けることを諦めた結果により、育ってきた環境から学んだ自滅的な行動や性格的な欠陥を指す 。
Melody Beattie(著書「Codependent No More」)によると、共依存の問題がある人は、ある特定の人の行動に大きく左右され、その人の行動をコントロールすることに全エネルギーを捧げる。
■ 代表的な特徴や傾向を簡単に紹介しましょう。
 

自分を犠牲にしてまでも他人の世話を焼く(Caretaking)
    〇他人の感情や行動、思考や選択、健康から日常生活、運命まで全てのことに関して自分に責任があると思っている。

    〇他人が問題を抱えていると不安や同情、罪悪感を感じる。
    〇求められていないアドバイスをしたり、次から次へとアイデアを出したり、気持ちを楽にさせようと試行錯誤するなど、他人の問題だが自分が解決すべきだと思っている。
    〇自分が助けようとしていたことが助けにならないと怒りを感じる。
    〇人を助けたり、喜ばれることをしている時にだけ安心を感じられる。
    〇どうして、他人も自分がしたようにしてくれないのだろうと思うが、いざ他人に同じことをされると不安や罪悪感を感じる。
    〇自分が何を欲しくて何を必要としているのかが分からない、もしくは分かっていても重要でないと自分に言い聞かせる。
    〇問題がある配偶者や家族をかばうためあるいは守るために嘘をつく。
    〇必要以上に責任感が強い、もしくは全く責任感がない。
 

自信がなく自尊心が低い (Low Self-esteem)

    〇問題を抱えていながら話し合うことも解決することもない、自由に表現することも許されない、もしくは家族が家族として機能していない環境で育った。
    〇自分の家族には問題があるということを受け入れられない。
    〇自分に責任のないことでも全ては自分のせいであると自分を責め、自分は何一つ正しくできないと信じている。
    〇他人からの褒め言葉や賞賛を受け入れられない一方で、褒めて欲しい思いが強く、褒められないことで鬱状態になることもある。
    〇ありのままの自分で十分であると受け入れられず、本当の自分を恥じている。
    〇生活の中でたくさんの「~すべき」がある。
    〇失敗を極端に恐れる完璧主義者。

抑制 (Repression)
    〇拒絶される恐怖感や自分への罪悪感のため、ありのままの自分を出すことを恐れ、本当の考えや感情を抑制する、もしくは封じ込める。

強迫観念 (Obsession)
    〇他人や自分とは関係ない問題や些細なことにひどく不安を感じるにもかかわらず、そのことについて話したり考えたり心配したりすることを止められない。
    〇些細な問題や他の人の行動が気になり眠れなくなる。
    〇他人や自分とは関係のない問題にすべてのエネルギーを注ぐが、その問題を解決するための答えは見つけない。

コントロール (Control)
    〇自分だけでなく他人のありのままの姿や、自然な成り行きで出来事が起きることを恐れる。
    〇融通が利かず、自分だけでなく周りの全てをコントロールしようとする。
    〇コントロールを失うことが怖いということを受け入れられない、もしくはその恐怖に対してうまく対処できない。
    〇人や物事がどうあるべき、どうなるべきかを一番知っているのは自分であると思っている。
    〇絶望感、罪悪感、威圧や脅迫、アドバイスなどを巧妙に使い、人を操ったり支配することで、自分の周りの人や出来事をコントロールしようとする。

無視 (Denial)
    〇実際に起きている問題に対して無視をしたり、何も起きてない振りをする。
    〇深刻な状況であるにもかかわらず、そんなにひどい状況ではない、明日は良くなるなどと自分に言い聞かせ、問題を解決しようとしない。
    〇故意に忙しくする、うつや病気になる、何かに依存するなどして解決すべき問題から目をそらす。

依存 (Dependency)
    〇自分の生きる意義が分からず、幸せや穏やかな気持ちを感じられない。
    〇自分自身によってではなく、他人や物という自分以外のもので幸せを感じようとする。
    〇両親の愛情や賞賛を受けずに育った。
    〇自分を愛せず、愛し方もわからず、誰も自分を愛さないと信じているにもかかわらず、人からの愛情や賞賛を必死に求めている。
    〇他人を愛せない人を自分の相手に選び、愛されようと必死に相手に合わせる。
    〇人が離れていくのではないかといつも心配している。
    〇一人では生きていけないと信じ、全く機能していない関係にしがみつく。

乏しいコミュニケーション能力 (Poor Communication)
    〇頻繁に批判、威嚇、威圧、懇願、媚などをコミュニケーションの方法として使う。
    〇本当に思っていることや言いたいことを言わない、もしくは言えない。
    〇ストレートにものを言わない、もしくは言えない。
    〇他の人が喜ぶであろうこと、興味を持つであろうこと、言って欲しいであろうことを言う。
    〇Noと言えない。

曖昧な他人と自分との境界 (Weak Boundaries)
    〇どこまでが自分の責任で、どこからが他人の責任なのかが分からず、自分=他人(特に家族や配偶者)と考える。
    〇他人が自分を虐待したり、傷つけても止められない。
    〇自分に関係のないことでも他人を批判し、非難し、コントロールしようとする。
    〇他人のために必要以上の自己犠牲を払う。

信頼感情の欠乏 (Lack of Trust)
    〇他人だけでなく、自分の感情や判断を含む自分自身が信じられない。
    〇信じるべきではない人たちを信じようとする、もしくは信じてしまう。
    〇自分は見放された人間だと信じている。
    〇人を信じられないため人と有意義で親密な関係を作れない。

怒り (Anger)
    〇とても怖がり、傷ついている、怒っている、もしくはそのような人と一緒に住んでいる。
    〇自分の中にある怒りを恐れ、その怒りを押し込めるが次第に耐えられなくなり、怒りが爆発する(ぶち切れキャラ)。
    〇他人の怒りを異常に怖がり、他人を怒らせることを恐れ、執拗に避ける。
    〇怒りを感じることに恥や罪悪感があり、怒りを適切に表現できない。
    〇怒りを表したら、人は自分から離れていくと信じている。

性的問題 (Sex Problem)
    〇自分が望んでいない時でも相手が望めばその要求に応える。
    〇Sexを使って相手をコントロールしようとする。
    〇配偶者や交際相手への感情や興味をなくす。
    〇Sexに興味がなくなり、Sexを避けるための理由を作る。
    〇他人への強い性的妄想を持ったり、不倫を考えたり、実際に行動に移したりする。

共依存はその行動や思考が習慣化していく進行性(Progressive)で自滅的(Self-destructive)な病です。治療をしなければどんどん悪化していきます。ご家族、又は親しい方に依存の問題を抱えている人がいる方はもちろん、そうでない方も気付かないうちに「共依存という病」にかかっているかもしれません。ご紹介した特徴や傾向はほんの一部でしかありません。心当たりのある方は、一度、専門家にご相談してみることをお勧めします。
Q.マインドフルネスとは?
A.American Counseling Association(米国カウンセリング協会)の学会誌Counseling Today 1月号にマインドフルネスに関する記事が出ていたので、ご紹介します。

   マインドフルネスとよく聞かれるようになりましたが、一番よく知られていて分かりやすいものは瞑想ではないでしょうか。米国カウンセリング協会の学会でマインドフルネスと自分への思いやりや慈しみ(self-compassion)に関する研究を発表した米国公認カウンセラーのダニエル・リチャード氏は、「瞑想のやり方には様々な方法があり、ガイドの声をききながらイメージをふくらませる瞑想、座ったままの瞑想、歩きながらの瞑想など、人それぞれに適した瞑想のやり方があります。お経やマントラのような単調な調子の呪文を繰り返し唱えることで意識を集中させる人もいれば、呼吸に意識を集中させ瞑想する人もいます。」と言います。
  また、リチャード氏はマインドフルネスの根底にあるものは、単純に日々の生活の中でその瞬間に存在し、その瞬間を生きる練習だと説明しています。「その瞬間に生きるとは、自分の周りのものや自分のしていることも含まれている」と言っています。言い換えれば、自分に起きていることだけでなく、自分の周りで起きていることも含めて、五感で全てを感じながらその瞬間その瞬間を生きていくための練習がマインドフルネスということです。

   そのため、「気付き」ということがマインドフルネスの練習には大切になります。例えば、リチャード氏は「何が自分を苦しめ、どのようにそのストレスが影響しているのかに気付くことがストレス マネージメントの重要なポイントになります。」と説明し、感情やストレスなどに気付くためにジャーナリングをクライアントに勧めるそうです。ジャーナリングという書く作業をすることで、感情を行動に即うつすのではなく、どういう対応を選ぶかと考える最初のステップになると話しています。また、感情をしっかり感じ、その感情を客観的に判断する助けにもなるということも話しています。ジャーナリングをすることで「気付き」を促していくのですね。

   リチャード氏は、「多くの人がマインドフルネスを自分の考えや感情を退け、心の中を空っぽ、無の状態、にすることだと思っていますが、これは誤りです。」と指摘しています。「マインドフルネスな瞑想とは、心を無の状態にするのではなく、むしろ自分自身に意識を集中し、毎日の生活がただ何となくではなく、より意識のある、より有意義な、そしてより効率よくなるように自分の心を訓練することです。マインドフルネスは何かを故意に起こそうとしたり、ある特別なリラックスした状態になるということではありません。リラックス状態はむしろ副産物です。」と話しています。

   慌ただしい毎日の生活の中で、自然にマインドフルネスが出来るようになることは難しいです。リチャード氏が話しているように、マインドフルネスは心の訓練です。練習を繰り返すことでマインドフルネスという技術を身につけ、日常生活に生かせるようになります。まずは1日10分の瞑想から始めてみませんか?
 
 (髙橋美紀)
Q.ブレインスポッティングとは? ブレインスポッティング 「どこをみるかで感じ方が変わる」
A.ブレインスポッティング(BSP)は、2003年にGrand博士が16歳のスケート選手のセラピーをしている時に発見しました。彼女はトリプル・ループを習得できず、セラピーではジャンプがおかしくなった瞬間をターゲットとしました。指を目で追っているとき、Grand博士は直感的にある場所で彼女の視線を止めました。そうすると、トラウマの記憶が10分の間溢れ出てきました。毎週90分間のセラピーを1年間続けたにも関わらず、今まで出てこなかった母親から見捨てられた記憶や両親の離婚の記憶、またスポーツの怪我の記憶が強い感情を伴って、その10分間の間に浮かんできました。Grant博士は1年間の集中したセラピーでは出てこなかった記憶が出てきたことに衝撃を受けました。それ以上に既に解決したと思っていた記憶も蘇り、より深いレベルで処理されていったことに驚きを感じました。

その翌日、彼女はトリプル・ループを失敗なく初めてやりのけました。そしてもう2度と問題は起きませんでした。


ブレインスポットとは?
ブレインスポットとは、集中した活性化と目の位置に対する、皮質下の脳活動のことだと仮定されます。BSPは関係性の同調と神経生物学的な同調が同時に組み合わされる二重同調を利用します。対人生物神経学(D.Siegel)のモデルに適合します。

BSP神経生理学的な原則に基づきますが、セラピストとクライアントの関係性にも大きな役割を果たします。実際、セラピストはクライアントとの関わりを減らすのではなく違った形で関わります。クライアントに癒しを促すのは、同調してマインドフルネスであり共感的に見守るセラピストの存在です。セラピストの存在がマインドフルネスになることでさらに癒しを促します。

  BSPは開かれた統合的なモデルです。どんな臨床的なアプローチやスタイルにも適応するよう作られています。癒しに「縄張り」はありません。

(ブレインスポッティング・トレーニングphase1資料より抜粋)