「瞑想の森」での内観体験 ~夫婦関係のカウンセリングを経て~

自分の根っこと、目に映る世界

1.瞑想の森での内観へ
 

私は62歳の男性で、現在、親会社を定年退職し関係会社の役員として転職し京都市で単身赴任生活をしています。夫婦関係に関わるZoomカウンセリングの中で、ある日、檜原先生から「瞑想の森」(栃木県さくら市)での内観のことをお聞きし、思い切って2021年8月8日(日)~14日(土)まで6泊の夏季特別研修というものに参加してきました。その感想を以下に記します。
 

2.内観研修 初日
 

予備知識のあまり無かった私にとって初日のガイダンスでは、内観とは内心の観察であり見えづらかった自分を観るものと知り、そもそものカウンセリング目的の、夫婦関係に留まらず自己全般を見直すということに合致するので、期待が膨らみました。また、研修に入ってから食事の時に放送される講演録では、内観では原点に戻って“育ち直す”ことができる、そして大人としての練られた素直さが得られる、と聞き楽しみになりました。
 

3.内観研修所での過ごし方
 

研修所での過ごし方は、6時半から21時まで屏風で仕切られた畳半畳のスペースに座布団2枚、原則トイレと風呂以外では屏風の外に出ない、食事はお膳で運ばれ屏風の中で戴く。慣れると全く狭くは感じずむしろ守られている感覚で居心地は悪くありませんでした。


4.内観ですること・流れ


内観とは何をすることか、具体的には、身近な人(両親、妻、兄弟姉妹 等々)に対して、自分にして頂いたこと/してお返ししたこと/迷惑をかけたこと、この三問を自分が生まれてから現在まで、原則3年~4年で期間を区切って思い出す努力をします。初めはなかなか慣れませんが、集中です。やってみると何かは思い出してきます。また、最終日には、期間ごとに自分の嘘と盗みについて思い出します。(これら一連のことは、7日間では、時間が足りませんが)。2時間ごとに面接があり、面接者は屏風を少し開けて、何を調べたか尋ねます。こちらが3~5分程度話をし、聞いてもらうだけです。(このアウトプットも、仕組みの重要な一つなのです。)


5.わたしの内観体験 その1<幼いころの記憶>


説明はこのくらいにして、私が何を感じたか、思ったかについて述べてみます。
普段生活している時は、自分の幼い頃のことは全く思い出しませんでした。しかし、母に対して、0~3歳まで、4~6歳まで,,,,と、思い出す努力をするにつれ、しがみついていた乳房の感覚、眠るときに唄ってもらった“みかんの花咲く丘”の母の声、一方自分が迷惑をかけたこととして、交通事故で入院している時に添い寝してもらったこと等々が浮かんできました。


6.わたしの内観体験 その2<母の思い出>


次の内観時間には小学校1年に上がる時に、鉛筆1本1本、六角形の一片を小刀で削って名前を書いてもらったこと、消しゴムにも、筆箱にも、上履きにも、何もかも....  いつも自分に注がれていた母の愛に思いが及ぶとその瞬間、涙があふれ出てきました。


7.わたしの内観体験 その3<父の思い出>


父に対しても、子供の時から今まで、自分の中では、母の陰にいて存在感薄く(その母も2年前に亡くなり、父も今や92歳で老人ホームに居ます)、頼りないところを感じていたのですが、気づくと、小学校低学年の時、道(近くの河原で釣りをする為自転車で追いかけて、等)を教えてもらったこと、これが社会に出る一歩だったんだな、とか、父と全力でキャッチボールをしている映像が蘇ってきます。ああ、このお陰で体を動かす感覚が身についたんだとか、連想での気づきが訪れました。そして、自分はずっと長い間、深い深い両親の愛情に包まれていたのだということに覚醒というか認識してきます。また、別の機会では両親の夫婦関係についても、父の「負けるが勝ち」という人の気持ちを尊重することにも思いが至りました。


8.わたしの内観体験 その4<家庭内での自分>


更に続く一連の内観体験を通して、家庭内での自分の位置づけに関して、当時はそういう生活が当たり前で、中学受験やスポーツの実績、難関大学入学、いわゆる超一流企業への就職、これらは自分の努力で得たものという解釈でしたが、本当に視野が狭く自己中心の私だったという事実に直面します。妻に対してもしかりです。自分勝手な言動で迷惑をかけて、ストレスを与え続けて来たのですが、今まで自分に頂いた愛情に気づきます。人から、器が狭いとか言われると反発心が出ますが、内観の良いところは、自分で気づくのでその気づきを受け入れられる点です。


9.わたしの内観体験 その5<嘘と盗み>


それらに加え、弱くてずるい自分を思い知らされるのが、次のプログラムの「嘘と盗み」の記憶の呼び覚ましでした。今まで自分だけの記憶に閉じ込めていたことを面接でアウトプットします。思い切って一つだけ、幼稚園時代のことを話しますと、当時は、私は泣き虫と呼ばれていました。ある時、多分遊んでいた玩具を力の強い児に取られたのでしょう、泣いていました。先生から聞かれ、私は “〇〇ちゃんが叩いた“ と嘘をつきました。泣き虫と思われるのが嫌で、泣いたこと正当化したかったのと、先生にその児を叱ってもらおうと思ったのです。(こんなこと、本当に57年ぶりに思い出し考えました。) これと同じ様なことを今もしていないか? 今の自分の根っこはここに表れているのではないか? グサリ、ヒンヤリと自分に突き刺さります。
自分を知るという意味で、嘘と盗みの内観が一番効果あるそうです。


10.わたしの内観体験 その6<振り返り>


研修の終了後に車座になって(密を避けながら)参加した8名が感想を述べあいました。人それぞれですが、各自手ごたえは感じられていたようです。自分は、欠陥のある人間だと思いましたが暗い気持ちになるどころか、むしろ逆で、スッキリした気分になっていました。感謝の気持ちが膨らみ、また、妻のこと、父のこと、今まで気づかなかった自分に気づき、ほんの入り口だと思いますが、目に映る世界に一条の光が差し込んだ感覚になりました。内観を紹介していただき本当にありがとうございました。心理セミナーで気づいたことも合わせ、今後は、日常的に内観をしながら歩んでいこうと思います。
 
2021年8月23日
by Y.Y.

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