買い物依存症者Y.Y氏

私が、檜原先生に始めてお会いしたのは入院中だった。私は、買い物依存症で、お金もなく、借金も返せないほどしているのに、毎日買わずにはいられないひどい状態だった。最後は、家にあった貴金属を売り借金の足しにしようと思い上野に行った。貴金属を売ったのに、帰りの上野駅に着いた時には、もう全てお金を使いはたしていて、何とかPASMOで帰ったその時に、苦しさが堪え難いものになり入院となった。

私は、何度目かのカウンセリングの時に先生に「まるで蟻地獄にはまった蟻のようです。泥沼から出られない状態です」と話した。先生は「私たちが、外からロープを投げます。その助けをかりて、自分で一歩一歩抜出して下さい。それが治療です。」とおっしゃったが、その時、私はロープを掴む自信もなかった。

退院して私を待っていたのは、自己破産に向けての弁護士との面接だった。苦しかった。そんな中でも、カウンセリングは続けた。知らないうちにロープを掴んでいたのだろうか。様々なプログラムを受けて依存症の勉強もした。自分がACである事も自覚した。夫のDVの問題もはっきりしていった。依存症本人のグループカウンセリングにも参加した。でも、自己破産の苦しさから死を考えることも度々あった。

グループカウンセリングに参加してみて、私は、もっともっと私の問題と同じ問題を持った人達と出会いたいと思い、ネットで自助会を探し、すぐD.Aに繋がることが出来た。D.Aのミーティングに出てみると、私と同じ病気の仲間と巡り会うことが出来たのである.私は、カウンセリングとミーティングという2本のロープを手に入れたのだ。仲間の応援がなければ自己破産はとてもきついものになっていただろう。

買い物依存症は治らない病気だが、回復はある.私は、ミーテイングの中で、先行く仲間の回復していく姿をまのあたりにした。「私も回復したい」そう願った。私は今年の5月にスポンサーを得ることが出来、今、12のステップをふんでいる。そして、ステップ4で、今までの自分の棚卸しをし、自分の欠点を知った。今は、ステップ9で私が傷つけた全ての人達に埋め合わせをし始めたところだ。

今の私の心は死を考えることもなく、平安で穏やかだ。無駄な買い物のスリップは、その5月から止っている。「来年の5月になったらバースデーをしよう」と仲間が言ってくれる。まだ、8ヶ月もあるが「今日一日」買わない生活を続けていくだけだ。「今日一日」(Y.Y)